2022.8.3 動画解説を追加しました
至高の筆の持ち方
さっそく結論からですが、至高とされる筆の持ち方は次のようになります。
おそらくですが、
なんだこの変な筆の持ち方は?!親指が変に立っているし、小指も妙につっぱっている。こんな持ち方があるか!
とお叱りを受けそうですが、実は私も始めはそう思っていました。ですが・・・
この筆の持ち方、なんと名前があります、その名も、
「五指執筆法(ごししっぴつほう)」または「撥鐙法(はっとうほう)」
と言います。
私も30年以上も好きで書をやっているといろんな本を読むのですが、それらの情報を統合していくとどうやらこの持ち方があらゆる筆の持ち方の中で、
最上・至高の持ち方
らしいのです。
これは書の本場中国の筆の持ち方でそう言われているのだとか。そのため日本ではあまり出回っていないです。
私も長く書をやってきていますが、こんな持ち方をしている人はまず見たことがありません。
最初はこんな持ち方聞いた事もないし教えられた事もないものですから、疑いを持っていました。
ですが本場中国に伝わる至高とされる持ち方です。筆が発明されて2,000年以上も経ちますが、その本場でこれぞ至高と言われて現在に伝わっている持ち方なのです。
たかだか100年も生きない私が実証する必要もなく、秘中の秘と受け継がれている技術を疑う必要すらないのかもしれません。
なのでまずはやってみようと思い、この持ち方を続けていました。すると・・・
これがめっちゃ良いのです!!
はじめは慣れが必要ですが、それはどんな持ち方も同じでしょう。
この持ち方であればどんな小さな文字でも書けますし、つっぱった小指で微調整が出来てすばらしく良いのです。ほんと小指が良い仕事をします。
言葉では説明しづらいですが親指を立たせて持つため、身体を近づければ近づけるほど安定して書くことができます。
五指執筆法(ごししっぴつほう)または撥鐙法(はっとうほう)の持ち方
それではその至高の持ち方の説明をしていきます。
五指執筆法の名前のとおり五本の指を全部使って書く持ち方です。
・五本の指で包み込むように持ちます
・5つの指先に力を入れて
・手のひらの中は力をぬきます
ポイントは小指を突っ張らせるようにして、コントロールして書きます。
ペンの持ち方の時にご紹介した「虚掌実指(きょしょうじっし)」を強力に行える持ち方です。
一般的な筆の持ち方
比較として、一般的な持ち方はこちら
二つの持ち方があります。
一つ目が「単鉤法(たんこうほう)」
二つ目が「双鉤法(そうこうほう)」
オーソドックスな持ち方で教科書に載っていて学校でも教わる持ち方です。
ちなみに「単鉤法(たんこうほう)」は、人差し指を一本だけ筆にひっかけるから単(ひとつ)鉤(かぎづめ)法といいます。
「双鉤法(そうこうほう)」は、人差し指と中指の二本を筆にひっかけるから双(ふたつ)鉤(かぎづめ)法です。
持ち方を変えた経緯と効能
この持ち方に変えた経緯ともう少しお話させていただくと、
私は小さい頃から習字教室に通っていたんですが、大きい筆(大筆)でメインの字を書いて、小さい筆(小筆)で名前を書いていました。多分大多数の人がそうしているのではと思います。
私もそれが当たり前のように教え込まれてなんの疑問も感じてなかったんですが、高校生になった時から「仮名(かな)」というのを書くようになったんですね。
【↑これが仮名っていいます】
なんというかミミズがはったようなちっこい文字を小筆で書いていきます。(しかもタテにずっと続けて1行流しっぱなしです)
その頃の私は小筆というのは名前を書くものでしたから、ペンの持ち方で持っていました。
ですがペン持ちは手や腕を紙に付けて書いていくもんですから、手や腕が乾く前の字に触れてしまって
・・・字が汚れてしまう・・・
だから、1行目に紙をあてて2行目を書いていくんですが
これがなんとも納得いかず・・・
ずっとモヤモヤしていました。
なにより仮名って字の流れが大切なので、手が紙にひっかかって上手く流れないんですね。
また賞状書きもそうなのですが、読む時は右から左(←)なのに書く時は逆の左から右(→)に書いていきます。汚さないためなのですが納得いかない。。
そもそも、大きい字は大筆、小さい字は小筆で書くという、理屈は分かるんですが小筆で小さい字を書くとき、単鉤法とか双鉤法の持ち方で書くと筆がフラフラして書けないんです・・・
なので自然とペン持ちになってしまう!
そこで出会ったのが、この五指執筆法(撥鐙法)の持ち方なのでした。
この持ち方ならば手を付けないでちっこい字でもなんでもスラスラ書けてしまいます。なんとも魔法のような持ち方です。小筆で名前はもちろん、仮名だって書けます。(手を付けずに)
言いことづくめのこの持ち方。効能もせっかく毛筆で書くのであれば試さない手はないと思います。
まとめ
至高とされる筆の持ち方を紹介してきました。
私も長年これを実践してきて疑いの余地なまったく無いですし、もはや一般的な持ち方には戻れないです。
やはり長い歴史の中で残ってきたものを疑う必要がないのは何事もそうなのだと実感します。
この至高の持ち方、ぜひあなたも試してみませんか?
動画解説してみました
動画でも解説してみました。セリフかみかみの拙い動画ですが…どうがご容赦下さい。。
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