ひらがな「く」徹底解説
今回はひらがな「く」です。
ひらがな「く」を書く時の極意は、見たままのとおりの真ん中で折れ曲がっている部分をどう書くか?です。
1画のシンプルな字ですが、コツをいろいろとご紹介していきたいと思います。
シルエットはタテ長の長方形
まずは全体像のシルエットとして捉えていただきたいのですが
ひらがな「く」のシルエットはタテ長の長方形
になります。
1画のシンプルな字で、幅も取らないタテ長なイメージで書くようにすると良いです。
最初は中心から右へ少しズラす
まずは最初の打ち込みの場所ですが
最初のスタート地点は中心から少しだけ右へズラす
と良いです。
数字で、中心からいくらのキョリとは言えなくて、書き始める時にど真ん中の中心からスタートするのではなく、気持ち右から書くようにすると良いです。
なぜ右へズラすのかと言うと、「く」は字の造りが左に折れ曲がる字で、どうしても左寄りになりがちな字です。
なので中心から右へ外した場所からスタートすると中心をとおる「く」になります。
書き始めは巻き込みながらもアリ
ここでひとつ、書き始める時のテクニックをご紹介したいのですが、
書き始める部分の「打ち込み」を丸く書くテクニック
というのがあります。
通常は45°ぐらいで打ち込んで、そのまま書いていきますが、
下から書き始めて巻き込んで、画の先っぽがまるくなるようなくるっと巻き込んで書く「巻き込み法」がおススメです。
この「巻き込み法」は「く」に限らず、全部の画の書き始めで使えるテクニックです。
この記事はペン字の日常生活で書くメモ書きなどが美文字になるためのいろんなコツをご紹介するために書いていますが、
書道用語に「蔵峰(ぞうほう)」とか「逆筆(ぎゃくふで)」という毛筆の美文字テクニックがあります。
・蔵峰(ぞうほう)…書き始めの時に筆の先っぽを出さないように隠して(蔵して(かくして))書く書き方。
・逆筆(ぎゃくふで)…書き始めの時に一度、逆から入って書き始める書き方。
「巻き込み法」はその美文字テクニックをペン字でも行うということにもなります。
よく、本当に字がきれいになりたければ毛筆から始めた方が良い、ということを聞きますがそれはある意味ではそうかもしれませんが、忙しい現代人はなかなかそうもいきません。
なのでここでご紹介した「巻き込み法」は毛筆の美文字テクを実践して書くことにもなりますのでぜひおススメです。
また、ペン字特にボールペンで字を書き始める場合、ボールペンって最初は中々インクが出にくいことがしょっちゅうなのですが、
この巻き込む部分の予備動作的なトコロでインクを出す準備をしてから書くと良い感じにインクが出だします。
普段のメモ書きでのちょっとした書き始めの動き、ですが、この動きを心がければ字は絶対にきれいになります。
よく見ないと分からないような事ですがこういった細かなトコロが美文字か汚文字かを分ける差になります。
前半部分はタテ気味に
「く」の前半部分の左下へ書いていく部分ですが、
前半部分はタテ気味に書く
と良いです。
ここの前半部分はなるべくタテ気味に書くと良いです。あまり寝てしまうとバランスが悪くなってしまいます。
折り返し部分でしっかりと
前半部分が終わったら、折り返して右下へ書いていきますが、
この折り返し部分をしっかり折り返す
ことが大事です。
「く」を書く中でここが一番大事な所で、左下まで降りたら少し戻って「重なる部分」ができるようにすると良いです。
ひらがなは画数が少ないので単純になりがちなのですが、折り返し部分でダブらせるような重なり部分を意識して書くことでアクセントがつき変化もでてきて、単純さを解消することもできます。
ちなみにこの部分で筆圧も一番強くかけると良いです。
タテの動きであるペンの圧力の強い弱いを考えることも美文字においてはとても大事な事です。折り返すこの部分は一番強い力をかけて他は弱くすると良いです。
後半部分は直角ぎみに反らせて下がる
しっかりと折り返し部分を書いたら、後半部分は右下へ書いていきますが、
後半部分は直角ぎみに反らせて下がる
ように書くと良いです。
前半部分に対して90°の直角ぎみに書くと良いです。
あくまで「ぎみ」なので直角にこだわりすぎないようにしていただきたいです。90°よりせまかったり広かったり大きくはずれてしまうとバランスが悪くなってしまいますので90°の直角ぎみが良いです。
直角ぎみに曲げ、そして「折り返し部分」でしっかりと重なり部分ができていれば、自然と上に反りながら右下へ下がっていくように書けると思います。
この時に右下へ下がりながら全体のバランスを見て中心をズラさないように微調整をすると良いです。
それから地味に大事な所なのですが画の最後の部分は少しだけ戻って止めることを意識することが大事です。
これは書き始めの「巻き込み法」で丸くなった先っぽに対応するような気持ちで書くと良いのですが、最初を丸くしたから最後も丸く、
というような終わりの儀式や収めるような気持ちで書いて終わらせることが、とても大事です。
ほんと地味すぎて誰からも聞いたことないって人もいるかもしれませんが、終わらせる時の気持ちはすごく大事です。
「く」は「久」漢字の成り立ち
ひらがな「く」の書体の流れは以下のとおりです。
「く」の元になった漢字「楷書」は「久」です。
久しぶりの「久」ですね、
「久」という字は、
【字義】
①ひさ‐しい。
ア.ながい。行く末がながい。「長久」
イ.古い。古くからの。
②ひさ‐しくする。長くする。時間を長くのばす。時間が長くかかる。
【解字】
象形。病気で横たわる人に背後から、灸(キュウ)をすえる形にかたどり、灸の意味を表す。灸の原字。転じて、時間が長い、ひさしいの意味を表す。
「新 漢語林 米山寅太郎 蒲田 正 著」
というように字典には載っています。
「久」は、病気の人にお灸をすえる形から来ているとのことで、お灸の「灸」の元になった字とのことです。
これがなぜ長い時間を表す「久しい」になったのかはナゾですが、中国4千年の歴史の中で時間をかけてそうなっていったのでしょう。
お灸って実際されたこともなくて、熱くて怖そうですが、時間がかかるのでしょうか?だから長く時間がかかって久しい?なのかもしれません。
意味はなんだかよく分かりませんが、病人にお灸をしてる形の「久」の草書(そうしょ)から「く」は来ています。
草書(そうしょ)を見ていただければ分かるように、これまで紹介してきた「く」の書き方のコツは草書(そうしょ)の「久」の書き方から来ていたりします。
特に折れ曲がる部分は画と画がくっつく部分なので「重なる部分」になっていたりと、ひらがなをきれいに書く極意は草書(そうしょ)にあったりしますので、
そもそもを知ることは美文字に繋がることだと考えますので、知っていて損はないと思います。
楷書・行書それぞれに合わせるには
楷書(かいしょ)と行書(ぎょうしょ)に合うひらがな「く」を考えた場合ですが、
・「楷書」は「直線的」に
・「行書」は「曲線的」に
です。
ほとんど変わりませんが。。心がけが大事ということで!
ヨコ書きの「く」を考えた場合
問題のヨコ書きを考えた場合ですが、
ひらがな「く」はタテ書きに特化してきたひらがなの中では、特に問題なくヨコ書きはできると思います。
ただヨコ書きをしていく上では、少し左に倒し気味に書いていくと安定して見えますので、前半部分のタテ気味をいつも以上にタテ気味にすると良いです。
まとめ
- シルエットはタテ長の長方形
- 最初は中心から右へ少しズラす
- 書き始めは巻き込みながらもアリ
- 前半部分はタテ気味に
- 折り返し部分でしっかりと
- 後半部分は直角ぎみに反らせて下がる
ひらがな「く」を書く時のコツは、折り返し部分をしっかり折り返すことに尽きます。
また「く」はどうしても中心が左寄りになりがちなので、そこを注意して書くようにすれば必ずきれいな「く」が書けるようになります。
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