筆で線を引く引き方には、
・中鋒(ちゅうほう)…筆の一番長い毛が線の中心を通る
・側筆(そくひつ)…筆の一番長い毛が線の上側を通る
の2つがあります。
これは厳密には、行書と草書・仮名でのみこの2つを併用して書きます。
篆書・隷書・楷書はほぼ中鋒で書くべきです。
この中鋒というのは、音楽で言うところの「ベース音」のようだと思うことがあります。
ピアノでは両手を使って弾きますが、左手はベース音を基本的には担当します。
ギターも6本の弦がありますが、1・2本目の太い弦はベース音を同じく担当します。
吹奏楽やオーケストラもベース音専用の楽器があります。
というように、音楽にはベース音という曲の裏打ちのようなパートが不可欠で、それは書も同じなのです。
いつの間にかこの中鋒というのは、日本の中では失われたものになっているようです。
教科書には載っていないから、学校の先生も知らない。
書道教室の先生のみが無意識にやっていて、それを意識的に教えている先生はあまり多くないのでは…と感じます。
この中鋒で線を引く方法は、訓練しないとなかなかできるものではないと思います。
楷書10年という言葉は、こういった部分も含まれています。
それでも、教えてもらい意識して書くようにするのが一歩だと思います。
音楽に必須なベース音である中鋒。
ぜひ意識的に訓練する事をおススメします。
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