文字には骨格があります
今回は、字のコッカク(骨格)というお話です。
字の「骨格(こっかく)」とは一体なんなのか?というと、
書道用語に「骨法用筆(こっぽうようひつ)」というものがあります。
これは
「骨法(こっぽう)」 → 骨の強さ、ようは線と線を組み合わせて出てくる力強さ
「用筆(ようひつ)」 → 筋肉の付け方・飾りの付け方、ようは筆の使い方
みたいな事とも言えるのかなと思いますが、
この字は「力強いな」とか「立派だ」とかっていう表現は、この「骨法用筆(こっぽうようひつ)」がしっかりしているから、と言えます。
「用筆(ようひつ)」というのは「筆づかい」とも言えて、筆を使った技術みたいなもので「線の太さなど」に影響してくる部分なので、筆文字では考えないといけない部分ですが、
ペン字に関してはこの「骨法(こっぽう)」「骨格(こっかく)」という
「骨の強さ=骨格のしっかりした字」
を意識していただきたいのです。
この「骨格(こっかく)」というのは、言い換えると
美術の「デッサン」みたいなもの
とも言えます。
美術もこのデッサンの力を養うために、
いろいろなモノの「骨格(こっかく)」を
どうすれば捉えられるようになるか練習に励むと聞きますが、
美文字も同じで、この「デッサン」「骨格」というのを意識して練習に励んでいただきたいのです。
また、スポーツの世界には「体幹」というものがありますが、美文字になるための「書の体幹」とも言える骨格を鍛えるにはこれが最適だと私は思います。
楷書で骨格のしっかりした字
では、どういった字が骨格のしっかりした字なのかというと
一言でいうと
「大昔の中国の天才たちが書いた字」
です。
日本人の書ではダメなの?と聞かれそうですが、
私個人としては、骨格を学ぶ上では中国人の字が良いと思います。
その理由は
私は書のお手本をいろいろと見て勉強している中で感じるのが
「中国人の字は日本人の字よりも強い」と感じます。
やはり歴史や土地柄から言っても、
まわりが敵だらけの環境を生き抜いてきた中国人と
島国で敵に攻め込まれることの少なかった日本人では
自然と字にも「民族としての違い」が出るように感じます。
勘違いしてほしくないのは、単純な「強い」「弱い」で優劣をつけるとかではなく、「日本人の字は弱い」とはあくまで中国人と比較して、での私の感想です。
言い換えれば「日本人の字は流麗で和やか」とも言えます。
日本人は外国人からよく「マナーが良くて親切」とか言われたり、
「奥ゆかしさ」というのも民族的なものだと思います。
なのでこの「骨格(こっかく)」を効果的に練習するには
「大昔の中国の天才たちが書いた字」
が一番良いです。
その中でも中国の歴史の中で「魏の時代」とか「三国時代」とかの字が良いです。
「三国志」とか有名だと思いますが、
この時代の楷書はホントに力強くて素晴らしいです。
楷書の美文字の神髄はここにあるな~と思います。
私は練習するたびに凹んでますが。。(凄すぎて)
なので、もしこの記事を読まれて「三国時代の楷書」に興味を持たれた方がいましたら
「三国時代 楷書」
「魏 楷書」
「魏 しょうよう 薦季直表」
「魏 しょうよう 宣示表」
「北魏 龍門二十品」
とかで画像検索していただいて練習すれば、また一歩美文字に近づくこと間違いなしです。
その時の注意としては、あくまで「原本で練習」すること。
石に掘られた字なので、見にくいとか読みづらいとかあると思いますが
誰かが書き直したものでの練習はあんまり意味がないです。
なのでたまには、普段の教材から離れてその違いを発見するのも良いと思います。
まとめ
- 文字には骨格というものがあります
- 骨格のしっかりした中国人の楷書を学ぶのが良い
美文字のコツの「コツ」は「骨」と書きます。
「骨」というのはどんな物事でも一番大事なところになるわけです。
なのでこの「骨格(こっかく)」と言うことを意識して練習することが一番大事なことだと思います。
骨格が無いと、骨の無いタコみたいなふにゃふにゃした字になっていってしまいます。
どんなに筋肉が付いて立派でも、装飾的でも、まずは骨がしっかりしていないことには美文字とは言えないと私は考えます。
私自身も普段の練習では特に意識していることですので、ぜひ知識として覚えていただきたいことのひとつです。
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