ひらがな「み」徹底解説
今回はひらがな「み」です。
ひらがな「み」は、ムズカシイと言われるひらがなの中でも、けっこうムズカシイ方に入ると思います。
2画しかない字ですが、逆に2画しかないからこそムズカシイですし、
特に1画目は書くキョリが長くて他の字にはないアクロバティックな動きをします。
「み」を書くときの極意は
・回転部分の白いトコロをきちんと残すこと
・「直角ぎみ」を守ること
です。そのあたりを中心にご説明&ご紹介してまいります。
シルエットはシズクの形
まずはシルエットとしての全体像をとらえていただきたいのですが、
ひらがな「み」のシルエットは「シズク(雫)の形」
になります。
ピチョーンと水が下にしたたり落ちるような形で、シズクの形をイメージして書くようにしていただければ良いです。
どちらかというとタテに長くなる傾向の強い字なので、そういったイメージでも書くようにしていただけると良いです。
最初はすくい上げるように
まずは1画目の最初のヨコに書く画ですが、
最初のヨコ画は
・気持ち右下の方向へ
・少しすくい上げるように
書くようにすると良いです。
あんまり急角度に入るとバランスがおかしくなってしまいますので、左上から右下の方向へナナメにスっと入るような感じで書き始めたら、
今度はそのまま少しだけすくい上げるように書くと良いです。
少し折り返しを意識
すくい上げるように書いて少し上がったら、そこから
少しだけ線と線が重なるように折り返して書く
ようにすると良いです。
書いてきた場所へ少しだけ戻るように、重なるようにしてきちんと折り返すことが大事です。
また、その時の折り返しの角度は「直角ぎみ」を心がけると良いです。
ナナメ画の後は一度休けいもアリ
「直角ぎみ」にきちんと折り返したら、ナナメの画を書いていきますが一番下まで書いていったら、くるりっと回転します。
実は「み」の中でこの回転部分がムズカシイ部分になります。なので、
回転部分で一度休けいする
のもアリです。
「ひらがな」がムズカシイ理由のひとつに、「一回で書くキョリが長い」というのがあります。
とくに硬筆(こうひつ)の練習の時などは、いつもより字を大きく書いて拡大して練習したりしますが、
大きい字になればなるほど「一回で書くキョリが長い」ということになって、ムズカシさがアップしてしまいます。
ちなみに、キョリの長さはもちろんですが、単純に大きな字になればなるほど、ムズカシサは上がります。
なのでわざと1画の中で休けいを取って、2回に分けて書くようにすると上手くいくこともあります。
休けいをとって一度手の体制を整えてから書くようにすると良いです。
でも気をつけていただきたいのが「休けい」と言っても完全に「止まる」のではなく「留まる」ようにして、
書く時の「勢い」や「流れ」がなくならないようにすることが大事です。
美文字の極意は「つながりがあるように」「流れがあるように」見えることですので、休けいを上手く取りつつ流れのある字を書くことが大事です。
三角の空間を書いて直角ぎみに交差
「み」は回転部分でくるりと回って書いていきますが、
・回転部分は三角形を書くように
・回りきったら「直角ぎみ」に交差する
ように書くと良いです。
中に三角形をイメージするのも良いですが、いっそここは丸っこい三角形を書くつもりで書いても良いと思います。
そして回転しきったら交差する部分になりますが、この部分を「直角ぎみ」を心がけると良いです。
三角に書けば自然と直角ぎみになってくるとは思いますが、心がけるともっと良いです。
「み」の回転部分の中の白い部分の広さが、実は「み」の良し悪しを決める大事な部分になりますので、気持ち広めに書くことも美文字のコツです。
最後はけっこう長めに
回転して直角ぎみに交差したら、右へ伸ばして書いていきますが、
バランスを取るようにけっこう長めに書く
ようにすると良いです。
少し上に反らせながら右へ線を引いていきますが、けっこう思い切って右へ伸ばすようにすると良いです。
そのときに全体のバランスを見ながら長さの調整ができるようになるともっと良いです。
普段から心がけて練習していけば必ずできるようになると思います。意識するだけでも違ってきます。
2画目も直角を意識
そして最後の2画目はカタカナの「ノ」を書いていきますが、
2画目も直角を意識
するように書くと良いです。
・1→2画目が「見えない画」でつながっているように意識しながら
・1画目と「直角ぎみ」に交差を心がけて
・ここでも全体のバランスを見ながら長さを決めつつ
・紙からゆっくり離れていってハラウ
ようにすると良いです。
ここでも1画目の最後と同じように「全体のバランスを見ながら長さを決める」を心がけて書くようにすると良いです。
そして最後は紙からゆっくりと離れるようにしてハラっていくときれいな「み」になります。
「み」は「美」漢字の成り立ち
ひらがな「み」の書体の流れは以下のとおりです。
「み」の元になった漢字「楷書」は「美」です。
美文字の「美」ですね。「美しい」の美です。
「美」という字は、
【解字】
会意。羊+大。大きくてりっぱな羊の意味から、うまい・うつくしいの意味を表す。
「新 漢語林 米山寅太郎 蒲田 正 著」
というように字典には載っています。
会意というのは、字と字を組み合わせて作られた文字という意味です。
漢字は中国で産まれた文字ですが、大きな羊(ひつじ)というのが、はるか昔の中国では「うまい」や「うつくしい」ことを表すということです。
私の勝手な想像ですが、昔は今以上に肉というのは貴重だったでしょうし、大きな羊であればあるほど美しい毛皮も取れるからそういった意味を表すようになったのかなと思います。
ひらがな「み」は草書(そうしょ)の「美」からきていますが、草書(そうしょ)の「美」を見ていただければ、ひらがな「み」のもとになったことはなんとなく分かると思います。
草書(そうしょ)の字のつくりが、「み」の字のつくりにそのまま影響していて、
例えば、草書(そうしょ)の最初の1画目2画目のチョンチョンは「み」の最初の少しすくい上げ~の部分になりますし、
「み」の回転部分で休けいアリの所にしても草書(そうしょ)の部分は離れています。
ムズカシイと言われるひらがなですが、ルーツとなる草書(そうしょ)のカタチを知ることもコツを得るヒントになります。
楷書・行書それぞれに合わせるには
楷書(かいしょ)と行書(ぎょうしょ)に合うひらがな「み」を考えた場合ですが、
・「楷書」は「直線的」に
・「行書」は「曲線的」に
です。
あんまり変わりませんが…そういった気持ちで書くことが大事です!。。
ヨコ書きの「み」を考えた場合
「ひらがな」を美しく書くことを考えたときに、ヨコ書きというのはなかなか問題が多いと感じているのですが、
「み」をヨコ書きする場合、「み」はタテ書き特化のひらがなの典型的な字です。
これぞ「ザ・ひらがな」とでも言いたくなるような字で、最後の画を左下にハラっていて、タテで書いたらスムーズに次の字に移れるようなツクリの字になっています。
逆にヨコ書きする場合はまったくの反対方向になる困った字です。
ここら辺が欧米化の影響でヨコ書きをしいられている日本語のツライ部分ではあります。
苦肉の策ではありますが、右へ右へと書くときに、書きにくさを覚悟の上で「つながり」や「流れ」をいつも以上に重視して書くしかないと今のトコロは考えます。
それにしてもひらがなをヨコ書きすると、なんだかローマ字っぽくなってくるような気がします…。
まとめ
- シルエットはシズクの形
- 最初はすくい上げるように
- 少し折り返しを意識
- ナナメ画の後は一度休けいもアリ
- 三角の空間を書いて直角ぎみに交差
- 最後はけっこう長めに
- 2画目も直角を意識
ひらがな「み」を書くときの一番のポイントは、三角部分の広さ(白い部分の残りかた)と交差点は直角に、です。ここを押さえれば必ずきれいな「み」が書けるようになります。
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