落款(らっかん)の書き方の紹介1落款(らっかん)の書き方の紹介2(修正版)
ご覧いただきありがとうございます。
書を学ぶ者、書学者の田畑と申します。
今回は書道における落款(らっかん)の書き方やその意味などを解説・紹介します。
落款とは?
上のプリントにもお示ししましたが、まずは落款とは
落成款識(らくせいかんし)の略
ということ。
現在ではもっぱら「署名・捺印」を落款と呼ぶことが多いかもしれませんが、
正式名称は落成款識であり、そして正確には「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」書いたか?
と示した上で印を押したものということになります。
落成というのは完成したという意味ですが、書道のこの場合は作品が完成した後に自分の名前を署名する、ということ。
款識というのは、印鑑のことですが、款が線が白(白文・陰文)であり、識が線が朱(朱文・陽文)ということ。
さらにいうと白文が名前、朱文が雅号(ペンネーム)や堂号(場所のペンネームのようなもの)が原則とされており、書道的には白文・陰文の方が格だったり位が上とされているようです。
私が思うに白文は文字として刻すことができますが、朱文はその性質上文字を残すことで刻すということになるので格式という観点でみると白文の方が上位ということになるのではないかと考えております。
そのため基本的に名前の部分を墨で雅号を書くことが多いことから、誰が書いたかを正式に示すためにきちんとした姓名氏名を掘った格の高い方の白文の印を押し、
その下にあくまでペンネームだったり場所ネームである雅印や堂号印を朱文で押す、というのが原則ということになったのだと思います。
ただこれはあくまで原則で絶対では無いので、分かった上で変えるのは問題ないと思われます。(そもそもそんなルールを書いたものはありませんから…)
なんだかそれをやかましく言われることも結構あるのですが、厳密なルールではないので一応の作法的な感じて覚えておけば良いと思います。
落款の書き方の原則
落款の一応の書き方の原則としては上のテキストの図にあるとおり、
「日付・名前・印鑑」を1セットとして
上下の空きがだいたい一緒になるぐらいになるように配置
すると良いとされています。
ただこれもあくまで原則、なので絶対ではありません。
昔の掛け軸作品もそうでないものも多々あるのが見受けられますから、一応のルールとして知っておくと良いです。
大切なのは、その場に調和しているか?ということだと思いますので、原則を踏まえた上で落款を署名捺印すれば良いと思います。
日付や季名等の書き方
「日付・名前・印鑑」が一般的な落款ということで、日付についても解説してみます。
一般的というか一番書かれる日付が「十干十二支(じっかんじゅうにし)」ですが、要は干支(えと)のことです。
ね・うし・とら・う・たつ・み・・・
という十二支は有名でご存じかもしれませんが、
それの十干というのを組み合わせて干支(えと)でその年を表すというのが慣わしみたい感じで書かれます。
甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)
というのぐらいは聞いたことがあるかもしれませんが、プリントに示したとおり10の漢字をあてて「十干(じっかん)」というのがありますが、あまり馴染みがないかもしれません。
2025年は「乙巳(きのとみ)」という組み合わせになり、全部で60個のパターンになります。
なので60歳=還暦という暦が還(かえ)ってくるという意味で十干十二支が一周するので長寿の祝いとされます。
書道ではこれを書くことが慣例とされていますが、現代は西暦で書いたり年号の「令和」で書いたりしても良いと思います。
大事なの調和することです。
さらに日付に関連して落款を長くしたい場合に「季名・和名・漢名」というのがあります。
テキストに一覧にしてみましたが、西暦や年号や干支と名前の間にこれらを入れてみるのも良いと思います。
単純に「二月」と書くよりも「如月」だったり「令月」と書くのも風雅な感じがして追記して書くと良いと思います。
まとめ
落款について、書き方だったり意味を解説してみました。
動画でも実際に書いている所を織り交ぜて解説しておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
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